デニーズVSデリへル
都内にある大人のお店、名前はペニーズ。
おなじ地区には、ファミリーレストランとして有名なデニーズがあった。
そのデニーズの店長が、ある日、ペニーズに乗り込んだのだ。
いいいいらっしゃいやせえええ!!などとアホヅラかまして愛想を振り撒く前髪に気合いの8割を傾けた従業員などには一瞥もくれずに奥へとずいずい侵入するデニーズの店長。
彼はペニーズの店長A氏に猛然とくってかかり、即刻きさまの薄汚い店の名前を変えろと鼻の穴をしじみ200個分ほどふくらまして激烈に抗議。
一種の奇襲的効果もあいまって、A氏はデニーズ店長に店名の変更をかたく約したのであった。
そしてどれだけか経って、ペニーズは店名を改めた。
新しき店名は「デリーズ」
デリへル店の長たるA氏の意地を見た気がして私は胸が熱くなった。
近年これほどまでに感動したことがあっただろうか。
いや、皆無である!
ただ、
これで女の子の紹介画像の子と顔も体型も似ても似つかない桁違いのデブスを派遣してこなければ言うことなしの店なのだが。
未成年の女の子
私はサイクリングに飽いて、多摩川の川原で地べたにけつをおろしてジュースを飲んでいた。
近くには美女と言えなくもない少女が同じように地べたに座っていた。
少女は17さいぐらいであったと思う。
たまごがたの輪郭を少し隠すように真ん中で分けた髪が顔にかかり肩まで伸びていた。
やがて相談員らしき二人組のおとなが彼女に声をかけた。なんでも親の暴力に耐えかねて、同様の境遇にあった同級生と共に地方から電車でやって来たのだという。
しかし友人はこちらについて二日で「やっぱり無理」と言って帰ってしまったそうだ。
彼女がどれぐらいこちらにいるのかは聞き取れなかった。
相談員がどこかしかの施設に一旦保護しますと言うと、少女は「どうせ親に連絡するんでしょ」と言って立ち上がり走って逃げてしまった。
未成年の少女にとってほかの大人に頼るということは親元へ引き戻されることを意味しているのかもしれない。実際はそうはならないとしても、彼女にしてみればその可能性があるというだけでも、人を頼れないのだ。
であるのなら、同級生に帰られてしまったときの思いはどんなものだったろう。
私も彼女を救えない大人の一人だが、彼女のこれからが少しなりともよいものになってくれることを願いつつ実は犬の糞に座っていたケツをあげて帰路についた。
夜中の恐怖体験
夜中に目が覚めた。
一瞬見覚えのない天井に不安になる。
でもすぐに祖母の家に泊まっていることを思いだし安堵する。
尿意を感じた。恐らくそれで目を覚ましたのだろう。
私が寝ていたのは仏間とふすまでへだてられた隣の部屋で、ふすまは閉められていなかった。
仏間は豆電球がつけっぱなしにされてあかりがこちらの部屋にもかすかにひろがって薄ぼんやりと辺りの様子を知ることはできた。
私は立ち上がり、トイレに向かおうとした。
しかしふいに何かの気配を感じて、隣の仏間に目をやった。
仏壇の上の壁に祖父の遺影がかかっている。
薄くなった頭頂部、痩せていて頬が少しこけている、鼻はだんご鼻で、口はむすっと閉じられている。そして眼球がぐるぐると動いていた。
私はパンツの中におしっこをすべてだして、それから大騒ぎで眠っていた他の家族を起こした。母が電気をつけた。
不満げな声をあげる家族たちに遺影を見て!と指を指すわたし。
遺影に視線を向ける家族。
そこには遺影のおじいちゃんの上を歩く小さな蜘蛛がいるだけだった。
失禁ものの作品を見るたびに、わたしはあの夏の頃の恐怖体験と家族の冷たい視線、そしてあたたかな股間のほかほかを思い出し涙が出るのだった。